瀬戸内市に請願、JRダイヤ維持を要望


瀬戸内市在住の伊野仁文さんが、3月13日のJR西日本ダイヤ改正の減便(昼間5往復減便、30分1本が崩れる)について瀬戸内市議会に請願書を提出しました。誰でもできる市議会への請願、同文でもいいので、各地で提出されるサンプルとなります。請願は出れば、かならず市議会で審議され、採択か不採択か決定されます。
JR西日本は今期収益予想を3050億円の赤字と予測(連結決算)しており、これは約2年分の経常利益を失うことになります。しかも収益の根幹となる新幹線の落ち込みは激しく、近年拡大してきたインバウンドも数年間は回復が見込めません。また働き方改革やネット社会の進行により2割程度の減収はコロナ収束後も覚悟する必要がありそうです。しかもグローバル化の中で外国人株主は3割ほどあり、また金融機関の株所有も大きく、当面JRとしてはコストカットや安全対策の先送りを余儀なくされており、そのしわ寄せとしての減便を打ち出したといえます。
こうした減便は岡山都市圏、広島都市圏全体に及ぶものですが、自治体は今までJRの便数維持にはほとんど関心が無く、地域の交通関係協議会でもバス路線維持やデマンド交通導入が中心になっており、「JRは儲かっているから大丈夫」という思い込みが蔓延していました。
さて今回の請願書の出た瀬戸内市を走る赤穂線は、昭和37年に開業し、当初は一日の便数が普通列車13往復程度でしたが、JR分割民営化前後から大増便され、岡山-長船は一日36便と都市圏輸送の最小限を確保していました。そのため邑久駅・長船駅の合併前の中心地域では過去10年でも大幅な人口増加を果たしており、近年では西大寺の次の大富駅でも住宅開発が進んでおり、瀬戸内市はコミバスをつい最近6路線に増やし、この3駅を中心とした運用にしただけでなく、邑久駅の駅前広場改修に6億円をつぎ込んでいる矢先でした。長船駅は岡山駅が16.6km30分の位置にあり、今回同様の減便となる山陽本線和気駅とともに、移住定住政策でも人気のスポットとなっていました。
しかし、わかりやすい30分ヘッドのダイヤが崩れることは、都市政策として計り知れない影響がでそうです。
請願書
<件名> JR 赤穂線のダイヤ減便に関する請願書
<要旨>
令和3(2021)年3月に予定されているJR 赤穂線(西大寺~長船)の減便の撤回
もしくは減便後において、従前の便数に戻すことをJR 西日本へ要請してください。
<理由>
令和3 年(2021 年)3 月に西日本旅客鉄道株式会社(以下:JR 西日本)のダイヤ改正が行わ
れるにつき、JR 赤穂線、西大寺駅~長船駅の日中時間の運行が30 分に1 本から1 時間に1 本
に半減することが発表されました。赤穂線の瀬戸内市内では、長船駅:約1200 人、邑久駅:
約1800 人、大富駅:約230 人の乗客数があり、少子化の厳しい沿線環境の中でも、ここ10 年
微増しています。瀬戸内市人口の3万人の約1 割が岡山方面へ同路線を利用しており、岡山都
市圏交通の一端を担っています。
今回の減便はコロナ禍での外出自粛による極端な利用者減がJR 西日本の新幹線などの鉄道
事業の収益を悪化させたことが主な理由であることは容易に推測できますが、この減便によっ
て瀬戸内市の利便性を大きく損なわれ、結果的に瀬戸内市への定住や企業誘致、観光など多方
面でのマイナスになり、瀬戸内市民の一人として、この問題に大変危機感を覚えました。
個人的になりますが、私自身、岡山市内に通勤しており、瀬戸内市牛窓町に勤務している妻
との結婚を機に、岡山市内から双方の通勤に便利な瀬戸内市長船町内に移住した者です。
つきまして、JR 赤穂線の昼間時間帯ダイヤの減便の撤回、もしくはダイヤ減便後には2021
年3 月以前の30 分に1 本のダイヤに戻すようJR 西日本に働きかけていただきますよう、請願
書を提出する次第です。
また、今回のダイヤ減便はコロナ禍の特殊な環境にあり、瀬戸内市からJR 西日本にダイヤ
の存続(もしくは復活)を要請するだけでなく、JR 西日本の収益に資する住民側・事業者側双
方にとって前向きな提案による、具体的な支援策をお願いします。
瀬戸内市議会議長 日下敏久様

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