コロナ禍後の地域公共交通に向けた具体策と制度の提案・全国路面電車ネットワーク

全国路面電車ネットワーク・全国バスマップサミット実行委員会では、毎週Zoom会議を、地域公共交通の将来像を討議しています。そこで「地域公共交通計画」におけるバスマップ作成状況を調査してきましたが、その過程でホームページによる情報公開、協議会のあり方、パブコメなどの課題も見えてきました。
2021-0415地域公共交通計画による情報公開等調査  詳細

2021-0420地域公共交通計画による情報公開等調査ver3 5/26差し替え

*地域公共交通計画を情報公開している自治体

〇2020年12月末までに、234自治体が地域公共交通計画及び
立地適正化計画を両方作成(国土交通省発表)
〇地域公共交通計画による情報公開等調査
地域公共交通計画を情報公開している自治体:226自治体群
(以下の比率の分母はHP公開自治体群の総数)
会議公開比率:43.82%
 議事録公開比率:20.22%
 市民参加可能比率:21.35%
アンケートは除く、ワークショップ、パブリックコメントの実施
公共交通マップ製作予定比率:68.54%
 協議会運営等委託業者公開比率:38.20%
人口1人当たり補助金額平均:1872円(公開分のみの平均)

その他調査項目:GTFS(公共交通マップデータ化)・
MaaS等、IT事業記載有無

 

 地域公共交通計画を情報公開している自治体<総評>
〇2007年に活性化再生法が施行され、地域の協議会および公共交通計画が 規定されてから10年以上経過しているが、公共交通計画を策定している 自治体はいまだ30%程度(2020年7月時点606件 連携計画・網計画も含む)
〇計画を策定している自治体でも、ワークショップ等による 市民参加を可能としている協議会が少なく(21%)、会議(44%)や 議事録および資料(20.22%)の完全公開すら進んでいない。 地域住民の足に関して税金を使って議論している意味が理解されていないよう
〇公共交通マップ製作予定比率が69%となっているが、公共交通を分析し、 計画策定および実施していくうえで、マップは不可欠のはず 〇協議会運営等委託業者の公開比率が38%と低く、自治体の事業を担う 事業者が何故公開されないのか疑問。今後計画策定の努力義務化に伴い、 安価な業務委託で手本をまねるだけの計画が多発する懸念がある
〇人口1人当たり補助金額平均(公開分のみ)が1872円、地方税収の平均が 30万円なので、0.6%に過ぎない。鉄道廃止に伴う損失が1人あたり12,470円 ということを考慮すると、公共交通への支援の少なさが地域の衰退や 地球環境悪化を招いているのではないか。
〇地方自治体では公共交通を担当する部署すらないところも多く、担当者も 少ないことが課題で、民間事業者では地域の公共交通サービスの向上は おろか、維持することも困難で、国策を改めるべき(提案書参照)

全国路面電車ネットワーク・全国バスマップサミット実行委員会
調査・一覧作成 にいがた環境交通研究会 佐藤輝和 (C)2021 Terukazu Sato

詳細連絡先:roopkururin@hotmail.com

幹事団体連絡先  NPO法人公共の交通ラクダ 岡將男  :okj165@poppt.ocn.ne.jp

参考資料 熊本市が導入した自治体の行政市民の双方向情報発信手法 ダウンロードフォーム | RABAN (jt-tsushin.jp)

 

KOALA 都市創生交通ネットワーク@関西では、12月30日 森理事長と松原理事とで安藤裕衆議院議員事務所に出向き、コロナ禍後の地域公共交通に向けた具体策と制度の提言書お渡ししました。
提言内容は「全国路面電車ネットワーク」で論じてきた交通崩壊の問題について、公がもっと積極的に関わり、積極的な財政投入が必要であるというものです。
それぞれの内容については全面的に賛同していただき国会内で活動したいとのことです。
やはりいかに予算の獲得かがポイントです。何をするにしても財源確保です。
また、全国路面電車ネットワーク関係者とと面談してほしいと申し入れたところ快く承諾を得ました。WEB会議への参加もOKとのことです。
安藤議員は与党議員として、反緊縮のお立場で活動されています。
瀬戸内市在住の伊野仁文さんが、3月13日のJR西日本ダイヤ改正の減便(昼間5往復減便、30分1本が崩れる)について瀬戸内市議会に請願書を提出しました。誰でもできる市議会への請願、同文でもいいので、各地で提出されるサンプルとなります。請願は出れば、かならず市議会で審議され、採択か不採択か決定されます。
JR西日本は今期収益予想を3050億円の赤字と予測(連結決算)しており、これは約2年分の経常利益を失うことになります。しかも収益の根幹となる新幹線の落ち込みは激しく、近年拡大してきたインバウンドも数年間は回復が見込めません。また働き方改革やネット社会の進行により2割程度の減収はコロナ収束後も覚悟する必要がありそうです。しかもグローバル化の中で外国人株主は3割ほどあり、また金融機関の株所有も大きく、当面JRとしてはコストカットや安全対策の先送りを余儀なくされており、そのしわ寄せとしての減便を打ち出したといえます。
こうした減便は岡山都市圏、広島都市圏全体に及ぶものですが、自治体は今までJRの便数維持にはほとんど関心が無く、地域の交通関係協議会でもバス路線維持やデマンド交通導入が中心になっており、「JRは儲かっているから大丈夫」という思い込みが蔓延していました。
さて今回の請願書の出た瀬戸内市を走る赤穂線は、昭和37年に開業し、当初は一日の便数が普通列車13往復程度でしたが、JR分割民営化前後から大増便され、岡山-長船は一日36便と都市圏輸送の最小限を確保していました。そのため邑久駅・長船駅の合併前の中心地域では過去10年でも大幅な人口増加を果たしており、近年では西大寺の次の大富駅でも住宅開発が進んでおり、瀬戸内市はコミバスをつい最近6路線に増やし、この3駅を中心とした運用にしただけでなく、邑久駅の駅前広場改修に6億円をつぎ込んでいる矢先でした。長船駅は岡山駅が16.6km30分の位置にあり、今回同様の減便となる山陽本線和気駅とともに、移住定住政策でも人気のスポットとなっていました。
しかし、わかりやすい30分ヘッドのダイヤが崩れることは、都市政策として計り知れない影響がでそうです。
請願書
<件名> JR 赤穂線のダイヤ減便に関する請願書
<要旨>
令和3(2021)年3月に予定されているJR 赤穂線(西大寺~長船)の減便の撤回
もしくは減便後において、従前の便数に戻すことをJR 西日本へ要請してください。
<理由>
令和3 年(2021 年)3 月に西日本旅客鉄道株式会社(以下:JR 西日本)のダイヤ改正が行わ
れるにつき、JR 赤穂線、西大寺駅~長船駅の日中時間の運行が30 分に1 本から1 時間に1 本
に半減することが発表されました。赤穂線の瀬戸内市内では、長船駅:約1200 人、邑久駅:
約1800 人、大富駅:約230 人の乗客数があり、少子化の厳しい沿線環境の中でも、ここ10 年
微増しています。瀬戸内市人口の3万人の約1 割が岡山方面へ同路線を利用しており、岡山都
市圏交通の一端を担っています。
今回の減便はコロナ禍での外出自粛による極端な利用者減がJR 西日本の新幹線などの鉄道
事業の収益を悪化させたことが主な理由であることは容易に推測できますが、この減便によっ
て瀬戸内市の利便性を大きく損なわれ、結果的に瀬戸内市への定住や企業誘致、観光など多方
面でのマイナスになり、瀬戸内市民の一人として、この問題に大変危機感を覚えました。
個人的になりますが、私自身、岡山市内に通勤しており、瀬戸内市牛窓町に勤務している妻
との結婚を機に、岡山市内から双方の通勤に便利な瀬戸内市長船町内に移住した者です。
つきまして、JR 赤穂線の昼間時間帯ダイヤの減便の撤回、もしくはダイヤ減便後には2021
年3 月以前の30 分に1 本のダイヤに戻すようJR 西日本に働きかけていただきますよう、請願
書を提出する次第です。
また、今回のダイヤ減便はコロナ禍の特殊な環境にあり、瀬戸内市からJR 西日本にダイヤ
の存続(もしくは復活)を要請するだけでなく、JR 西日本の収益に資する住民側・事業者側双
方にとって前向きな提案による、具体的な支援策をお願いします。
瀬戸内市議会議長 日下敏久様

コロナ禍での全国の地域公共交通崩壊が現実のものになる中、我々全国路面電車ネットワークでは4月以来Zoom会議を35回開催し、学識者・市民・交通実務担当者から国会議員まで46人が自由に議論して、具体策と制度の提案を検討しました。今後提言を実装化するべく、国会・国土交通省、コロナ支援を行った多くの自治体への働きかけを開始します。11/16

2020-1115コロナ禍後の地域公共交通の方向性ver22・確定pff 10/6起草終了
2021-0621コロナ禍後の地域公共交通に向けた具体策と制度の提案[資料編]ver23 新着・修正
2021-0621_コロナ禍後の地域公共交通に向けた具体策と制度の提案・解説ver23   新着・修正

同・用語解説pdf  賛同団体・協力団体名簿10/27pdf  全国NWパワポ資料11/16pdf
岡山記者発表資料pdf 11/20発表

「地域公共交通支援求め提言書、市にRACDA」 新着 11/21  山陽新聞社提供

「路線バス網維持へ早期の公費負担を 岡山のNPO提案」 11/21記事 日本経済新聞
「地域公共交通支援求め提言書、市にRACDA」

全国路面電車ネットワーク

コロナ禍の影響で、かねてから危惧されていた地域公共交通の存続の危機が鮮明になった今日、大都市への極度な集中を是正し、地方分散の推進、出生率の増加、地域強靭化のためには、地域における良好な公共交通サービスを基礎とした安心して暮らせるライフスタイルの提供が必要。

- 公共交通の運賃収入は、大幅減収の見込み。高速バス・観光バスによる内部補填も、見込めず、各事業者はコストダウンから、減便・路線廃止を本格化。

- 公共交通は、医療、教育等とともに地域を支えるインフラ。通学生や免許返上した高齢者等の日常生活の足の「交通崩壊」は地域社会崩壊に。

- 観光の国内需要喚起にも地域公共交通は不可欠。

 

1.早期に実施すべき具体的方策

①小中高校生の通学時公共交通利用の公費負担による子育て支援(事業者の割引負担軽減)。

②バリアフリーに関する費用の全面的な公費負担化(医療・介護費の軽減)。

③公共交通のデジタル投資(オープンデータ、キャッシュレス化の運営コストを含む費用)の全面的な公費負担化(接触軽減と運転手の保護)

④公費助成による乗継(鉄道・バス・タクシー等)も含めた運賃軽減(需要喚起、MaaSの有効活用)

―  訪日外国人旅行者受入環境緊急対策予算等をグリーンリカバリー施策として活用

 

2.短期間で創設すべき制度の提案

①地域に必要であるが採算性が厳しい公共交通について、地方自治体が路線・運行計画を主体的に決定できる枠組とそのための人材育成の制度(国)

②上記を可能とする市町村の公共交通費用負担(予算規模はおおむね一般会計の1%程度)を想定した施策と、そのための財源措置(地方交付税等)。

③域内交通のサービス・運賃等の総合調整機能を有する組織の創設(交通連合等)

 

3.検討を開始し、5年以内に改正すべき制度

①地域公共交通の運営の領域分化と官民の責任分担の明確化

― 採算が確保できる商業サービスと、公共的に供給するサービスの切り分け。

― 公共サービスと見なす区域・路線については、公共サービス義務(PSO)と位置付け、自治体がサービスに責任を持ち、事業者がこれを受託等、契約で運行する形。

― 鉄道の上下分離は官民の機能分離とし、公共サービス義務(PSO)の下で積極活用。

②上記を実現する関連事業法の改正と充分な予算措置

― 交通政策基本法、地域公共交通活性化・再生法の趣旨を各事業法に反映。

以上

 

補足・提案の意図と背景

現況では、各交通事業者に対し、地方創生臨時交付金を活用した地方自治体による支援や、国主導のGOTOトラベルなどの支援策が実施されているものの、依然として支援を実施していない自治体もあり、利用者減の回復もなかなか進んでおらず、公共交通の危機は続いております。

そこで、「1.早期に実施すべき具体的方策」、「2.短期間で創設すべき制度の提案」、「3.検討を開始し、5年以内に改正すべき制度」の3つに分け、合計9項目を重点施策として提案することとしました。

この提案を新交通システム推進議員連盟および国土交通省をはじめとする各省庁、内閣、地方自治体や経済界などに働きかけていく予定です。まずはホームページで公開し、賛同団体を募る予定です。

全国路面電車ネットワーク運営委員長 NPO法人公共の交通ラクダ・岡山 会長  岡 將男

問い合せ先:okj165@poppy.ocn.ne.jp

■交通政策基本法改正と国土強靱化について、11/20衆議院国土交通委員会通過の資料 (11/23補足)
2020-1120交通政策及び国土強靭会に関する決議
2020-1120交通基本法等改正案概要
2020-1120交通政策基本法等改正案要綱と法案
2020-1120交通政策基本法等改正案新旧対照表

 

 

RACDAではコロナ禍で影響を受ける、JR西日本の中国地方の路線について、その存続の危機をどの程度か、公表資料により試算をしてみた。結果は衝撃的な地図が出てきた。数々の仮定に基づくとはいえ、多くの路線が存続の危機を迎える。影響が長引けば、必ず存続問題は起こると考え、それぞれの地域の関係者だけでなく、地域全ての人が考えるべきである。

またこの問題は鉄道だけでは無い。いま多くのバス会社も静かに、路線の減便・廃止・営業所の廃止を検討している。そろそろ様々な動きが水面下で起こっているはずだ、いまあるバス路線の半分は、来春には危機を迎えているはずだ。自治体の長、議員はまずこの事実に向き合い、市民に呼びかけ、国をも動かさなければならない。  RACDA 会長 岡將男

RACDA瓦版206号 リミットが迫る交通崩壊、その規模は

2020年8月現在のJR路線と20%旅客減少の場合の存続可能路線

岡山県では9月18日に下記、公共交通データ利活用セミナーを開催します。
「オープンデータ最先端都市岡山」と風聞にもありますが、宇野バスの高野さん、東大の伊藤さん、トラフィックブレインの諸星さんなどなど、強力布陣です。昨年のバスマップサミットでのデジタルバスマップ合宿の再現なるか。特に連動して懇親会はやりたくても、なかなか難しいけれど、再起動です。岡山県がチャレンジしてくれ、いま市町村にもこちらからも呼びかけます。Zoom参加もできますので、こういった時ですから、逆にパネラー達を質問攻めにして下さい。コロナ後の日本のオープンデータはどうするべきか!!!!

2020-0818岡山県OPちらし

概要
1 開催日時 2020年9月18日(金)13:00〜16:00
2 参加方法  〜下記の(1)又は(2)をお選びいただけます!〜
(1) オンライン参加
参加者のオフィス等でweb会議サービス「Zoom」又は「Youtube」で視聴。
参加URLは申込後に事前に送付します。
(2) 会場参加
会場:岡山県生涯学習センター視聴覚室[岡山市北区伊島町3丁目1番1号]
定員:30名
参加者は会場に設置された大型スクリーンで視聴。
会場には、公共交通でお越しください。
3 参加申込方法 2020年9月14日(月)までに、
下記サイトの申込フォームよりお申し込みください。
https://forms.gle/qbbFZRfXmZ5rs8fM9
4 告知サイト https://www.pref.okayama.jp/page/676870.html

 

コロナ禍は私たちの生活、日頃の活動にも大きな影響を与えており、また今後の公共交通のあり方についてあらためて考える契機となっています。さて、標記検討会は一時中断しておりましたが、次の通りオンラインにて開催いたします。講師はウイーン工科大学の柴山先生にお願いしており、当日は現地から参加していただきます。

1.日時  2020年8月29日(土) 17時~19時

2.方法  ZOOMによるオンライン開催

3.講師  ウイーン工科大学交通研究所 研究員 柴山 多佳児 氏

4.題目  「コロナ対応を通して見る欧州の公共交通運営制度」

※参加費 : 無料

申込み : Eメールにて、お名前、ご所属、メールアドレスをお知らせ願います。

→ 小田部(コタベ)まで  a.kotabe@k8.dion.ne.jp

お申込みされた方には、受付確認メールと後日(開催2日ほど前)、当日使用するURL、ID、パスワードをお伝えします。

※柴山先生は、日本経済新聞に「公共交通に戦略的投資を」と私見卓見(2020.8.3版)に寄稿

されています。 → https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62140300R30C20A7SHE000/

人と環境にやさしい交通をめざす協議会(交通まちづくりの広場)幹事 小田部明人

毎週火曜日の晩には、全国路面電車ネットワーク会議をZoomで実施。毎回15-20名の参加。
昨晩の報告では、新潟交通が大幅減便を打ち出し、札幌市のロープーウェーなどが無料運行しているとか、ようやく始まった公共交通経営危機についての報道を検討。
先週の土木計画学会では、交通経営危機は影響は、短期シナリオより中期シナリオに近づいており、観光関係は長期シナリオに近いことが報告された。
我々の検討でも、観光バス、高速バス、新幹線の乗客減少はGo Toキャンペーンなどでは回復不能で、少なくとも2年は回復できないと見ている。当然その収益で赤字路線を維持していた、JR含めて多くの路線バス事業が存続の危機に直面している。
また路線バスも向こう半年位では70%まで回復できるかどうか分らない状況で、特に注目している地方の電車バス年間1兆円の運賃収入が最低3000億円減少する。事業者は当然当面の資金繰りも考えて、減便含めたコストカットを必死でやつているが、これは到底無理な話で、先週も書いたようにこのままだと1年後には全国のバス路線は半減しているはずだ。
既に全国で400以上の自治体で支援メニューが作られているが、恐らくまだ総額で200億円とかではないだろうか。
先週は広島県が臨時交付金を使って38億4500万円の支援を、9月県議会にはかると速報された。この位の規模が必要なのだろう。岡山県、岡山市、倉敷市も頑張っている方だが、臨時交付金も使って、増額していかないと、来春までにはほとんど経営破綻するだろう。
我々路面電車ネットワークで議論しているのは、今回の全国的な自治体の支援、臨時交付金分を含めて、その総額が3000億円程度になるには、何をどうするかだ。かつてから市町村は一般会計の1%程度を公共交通に振り向けるべきだと、再三ラクダ瓦版にも書いてきたが、最終的にはそこが目標だ。
今年1月には岡山市長との雑談で、1%論を話したのだが、岡山市の場合は一般会計が3400億ほどだから、34億円、市長は「そんなに出したら、他を大分削らないといけない」と話していた。
つまり自治体がそれだけ出せるように、交付金制度などを作っていくということになる。まずは大きな流れを作るためには、秋の臨時国会で総枠の議論が始まるように仕向けることだ。
またもう一つの課題は、事業者が経営内容について情報公開をすることだ。もはや路線維持には税金投入しかないのだから、その情報公開度、また自治体との関係性がポイントになる。全国各地を見ていると、必ずしも両者の関係は良くくないのだが、結局地域を支えている両者が膝つき合わせて対策を練るしかないだろう。我々はその先進事例を広く探して、広めていきたい。
コロナ禍は巨大な災害である!
「ため息…通学費用が5倍!肥薩線被災し、高速バスに」との記事が出て、鉄道の大規模な被災が、たちまち高校生の足を奪う実態が浮き彫り。だがもはや災害が連発する中で全ての被災鉄道路線の復旧は不可能になりつつある。
再度書く、コロナ禍は巨大な災害である!
1.大幅な落ち込みで経営危機
コロナ禍により、JCOMMのアンケートによれば、全国の公共交通事業者の半分は8月末には事業継続困難になると答えているが、このままだと、今月末には多くの地方の電車バス会社などの経営は困難になるのは間違いない。落ち込みピークの5月の札幌では都心だけの路面電車は昨年1億1406万円が5470万円と前年対比48%、地下鉄は全線35億6861万円が17億0721万円と前年対比などの落ち込みは激しかった。
全国的緊急事態宣言が解除されて、5月の半減以下という事態から一旦は回復の兆しも出たが、第二波の各地拡散の中でGoToキャンペーンのてこ入れもほぼ無意味、むしろ混乱を助長しており、JR新幹線などでも再び利用客の減少が始まっている。たとえばJR 四国の速報では、4月前年対比22%5月24%が6月48%と回復したものの、7月上旬42%中旬40%と再度落ち込んでおり、4月~7月中旬の合計では定期76%現金等26%となる。
一方地方のバス会社では、収益源たる観光バス、高速バスは壊滅状態が続き、日常の生活交通のうち定期客は学校の再開や企業活動の再開で80%程度までは復活しているものの、都心に向けての現金客、買い物や通院、手軽な観光、県外からの観光が大きく減少していて、全体として60%程度までしか回復していないのではないか。航空や新幹線の落ち込みが大きな話題になるが、観光バスや高速バスの収益による内部補助で生活交通を支えていたので、打撃は大きい。
2.自治体の支援メニュー
こういう事態に対して、国交省では感染対策として全国で140億円ほどの予算を組んだが、赤字補填できるものでは無く、対応は各地の自治体に丸投げされており、臨時交付金を柔軟に使うという方向だけが示された。そこで各地の自治体には、電車バス会社の悲鳴が大きく上がったところから様々な支援が出ており(松本市・茨城県)、県レベルではようやく千葉・神奈川・石川・奈良・大分・鹿児島以外の県で支援が出そろってきた。
また市町村単位でも急ピッチに支援メニューが出ているが、把握は容易ではない。
交通崩壊を防げ・経済支援
たとえば岡山県では総額1億4508万円、岡山市では4億2000万円、さらにようやく倉敷市では「コロナ禍の中、感染や利用減のリスクを抱えながら社会的使命を果たしてくれたことへの感謝の意味がある」として9700万円の支援が決定し、それなりのボリュームになった。しかし残念ながらこれらは出血をとりあえず包帯を巻いて止める程度の効果しか無く、縫合したりする、あるいは全身の状態管理するには至っていない。現状我々はまずこうした自治体支援の輪を広げる努力に集中しているが、これらの合計はすでに100億円程度は越えているだろう。
3.各社の減便、路線廃止の方向 
一方、民間会社として存続するためには、管理部門の一時帰休により雇用調整補助金をもらったりしているものの、当初は運行便数を維持したために、収入減少はその金額だけが赤字として積み上がって、将来取り戻すチャンスはもうない。鉄道事業では固定費が大きく、もっと大変なはず。とりあえず各社は資金繰りに走り(富山地方鉄道宮崎交通)、一定成功はしているから大きな倒産は出ていないが、そろそろ限界のはず。1-2年の中期的見通しで各社は30%以上の乗客数減少を見こんで、そろそろバスでは大幅減便(仙台市交通局)と路線廃止を検討している。岡山でも両備バスは8/1から主力の西大寺線でも減便実施、下電バスは瀬戸大橋線などの廃止を決定。一昨年話題となった岡山バス大戦争のきっかけとなっためぐりん西大寺線はいち早く大減便を行っている。
おそらく10月のダイヤ改正では、全国でかつてない大減便がおこる。既にこの秋の営業所単位の廃止などの動きが静かに進んでいるが、運輸局でさえその実態は把握できていない。通常ではない事態だから、地元協議なども十分には行われないだろう。自治体もそうした情報を察知できればいいが、実力次第ともいえよう。
来春の新学期には、当てにしたバスが無くなってるてのは、全国で起こりうる。肥薩線だけじゃない。
岡山で2年前に起きた、めぐりん参入に対する両備岡電の赤字路線のバス大廃止表明のような事態は、このコロナ禍の状況下では全国で起こるはず!このとき分析したトラフィックブレインの太田恒平さんによれば、「一日30便以下の路線は赤字、廃止の可能性がある」としており、岡山では現状と赤字廃止後の二枚の地図がしめされて、我々は衝撃を受けた。
この廃止表明を契機に、岡山市でははじめて公共交通網形成協議会が開かれ、国もこれに反応して、この春には地域公共交通活性化再生法が改正され、バス部門の独禁法運用が変わり、熊本・広島ではパス会社の共同経営がなされようとしている。

4.自治体中心の公共交通計画、国レベルでの方向付けへ

ともかくほおっておくと、今後10年で起こると思われたバス路線廃止が、この1年でおこる。高校生の通学に困るなら高校のPTA は今から動かないと間に合わない。いま一生懸命受験勉強しても、来春はバス路線はなくなるかもしれない。それが分るのは3月の入学式直前だったりするのだ。さらにかつて井笠バスの突然の営業停止のような事態は今年は全国で起きるが、あの時たった10日で事業継続を受けた両備グループのようなナイトはもう出てこない。

こうした事態に対して、我々は国会の新交通システム推進議連と連携して、地方自治体が各地の交通事業者の支援をしやすくなるように、交通政策基本法の一部書き換え、さらに財政支援しやすくなるような交付金制度の創設、財務省への働きかけをやろうと思う。毎週の全国路面電車ネットワークZoom会議には議連会長の逢沢一郎氏も参加して議論した。各地の事業者や市民の声、自治体関係者のチャレンジが必要だ。

全国路面電車ネットワーク運営委員長 岡將男

 

コロナ禍が発生してから、アメリカでは早々に国レベルで、交通事業者に25ビリオンドル、2兆6000億円ほどの支援が3月に実行された。日本とは2けた違う対応だが、その背景には主要10事業者連名の書簡を上院・下院へ出していました。それが初回の支援につながったようです。
Atrlanta, GAのMARTAのブログ記事 pdf

さて7月14日には、今度はアメリカ国内の主要公共交通28者連盟での国会への支援要求書簡が出されています。

Seattle, WAのSound Transit(Seattle近郊のライトレールや通勤バスなどを運行する事業者)のブログ

掲載された書簡の説明で、Sound TransitのCEOが述べたことを中心に記載されて

書簡の内容 pdf

この書簡によれば、必要な支援として、あらたに32-36ビリオン、3兆3600億円~3兆7800億円の支援が必要だと訴えています。その内容を見ると、自分たちは毎日、社会基盤維持に必要な多くの労働者を含めて2200万人を運び、数百万人の学生も運んでいると述べています。

日本でも自民党の議連に対して、民鉄協会やバス協会が陳情を行っていますが、市民に対する呼びかけというスタイルを取っているようにはありません。こういう点も支援体制の構築には支障となっています。
我々全国路面電車ネットワークでは、こうしたアメリカの事例もふまえ、国会への働きかけも強化していくと同時に、市民への呼びかけも繰り返していきます。
全国路面電車ネットワーク運営委員長  岡將男  (資料調査 佐野一昭)


岡山駅バス時刻表